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遺留分を侵害された場合の対応について相続弁護士が解説

公開日:2026.06.29
最終更新日:2026.06.29

遺言や生前贈与で相続分が極端に少ない、あるいは何も受け取れない――そんなとき、配偶
者・子・直系尊属には法律上「遺留分」が保障されています。侵害された分は金銭で請求可
能です。本ページで仕組みと請求方法、期限の注意点まで弁護士がわかりやすく解説しま
す。

1. 遺留分の基本的な仕組み

遺留分が侵害されているかどうかを判断する前提として、遺留分が認められる相続人の範
囲、その割合、算定の基礎となる財産など、制度の基本を確認します。
遺留分とは何か
遺留分とは、被相続人の財産のうち、一定の相続人に対して法律上最低限の取得が保障され
ている割合のことをいいます(民法第 1042 条)。被相続人は遺言や生前贈与によって自由に
財産を処分することができますが、残されたご家族の生活保障の観点から、その自由には一
定の制限が設けられています。

遺留分が認められる相続人の範囲
遺留分が認められる相続人(遺留分権利者)は、被相続人の配偶者、子(およびその代襲相続
人)、直系尊属(父母や祖父母)です。兄弟姉妹には遺留分が認められていません(民法第
1042 条第 1 項柱書)。たとえば、お子様がいないご夫婦で、被相続人の兄弟姉妹が法定相続
人となる場合、被相続人が「全財産を配偶者に相続させる」という遺言を残せば、兄弟姉妹
は遺留分を主張することができません。

遺留分の割合
遺留分の割合は、民法第 1042 条で次のとおり定められています。
総体的遺留分の割合
・ 直系尊属のみが相続人である場合:相続財産の 3 分の 1
・ その他の場合(配偶者や子が相続人に含まれる場合):相続財産の 2 分の 1

個別的遺留分の計算
遺留分権利者が複数いる場合は、上記の総体的遺留分に、それぞれの法定相続分を乗じて、
各人の個別的遺留分を算出します。たとえば、相続人が配偶者と子 2 人の場合、配偶者の
遺留分は(1/2)×(1/2)で 1/4、子それぞれの遺留分は(1/2)×(1/4)で 1/8 となります。

遺留分算定の基礎となる財産
遺留分を計算するための基礎となる財産は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額
に、贈与した財産の価額を加え、債務の全額を控除した金額です(民法第 1043 条第 1 項)。
加算される生前贈与の範囲は次の通りです(民法第 1044 条)。
・ 相続人以外への贈与:相続開始前の 1 年間にされたもの
・ 相続人への贈与:相続開始前の 10 年間にされたもののうち、婚姻や養子縁組のた
め、または生計の資本としてされたもの
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合は、上記の期
間にかかわらず算入の対象となります。

遺留分侵害額の計算方法
遺留分侵害額は、次の計算式で算出します(民法第 1046 条第 2 項)。
遺留分侵害額 = 個別的遺留分額 -(遺留分権利者が受けた遺贈・特別受益の額)-(遺留分
権利者が相続によって取得すべき遺産の価額)+(遺留分権利者が承継する相続債務の額)
この計算結果がプラスの金額となる場合、その金額が侵害された遺留分額であり、請求でき
る金銭額となります。計算には不動産の評価や生前贈与の有無の判定など、専門的な検討が
必要となるケースが多くあります。
複雑なように見えますが、個別的遺留分の額に不足する金額のことと考えれば大丈夫です。

2. 遺留分を侵害された場合の対応

遺留分が侵害されていることがわかった場合、遺留分権利者は受遺者または受贈者に対し
て、その侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
遺留分侵害額請求権の概要
遺留分権利者およびその承継人は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金
銭の支払いを請求することができます(民法第 1046 条第 1 項)。これを遺留分侵害額請求権
といいます。

時効と除斥期間の注意点
遺留分侵害額請求権には、次の 2 つの期間制限があります(民法第 1048 条)。
・ 遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと
を知ったときから 1 年
・ 相続開始のときから 10 年
1 年という期間は意外に短く、素早く動かなければ、弁護士を探したり、必要書類を集めて
いる間に経過してしまう危険があります。遺留分侵害に気付いた場合には素早く行動に移す
ようにしましょう。

3. 遺留分侵害額請求の流れ

実際に遺留分侵害額を請求する場合、一般的には次のような流れで進みます。

内容証明郵便による意思表示
まず、遺留分侵害額請求の意思表示を相手方(受遺者・受贈者)に対して行う必要がありま
す。これによって上述の期間制限を止めることができます。意思表示の方法に法律上の決ま
りはありませんが、後日「いつ請求したか」や「本当に請求したか」が争点になることがあ
るため、配達証明付きの内容証明郵便を利用するのが一般的です。

当事者間の協議
意思表示を行った後は、当事者間で具体的な金額や支払方法について協議します。協議で合
意できた場合は、合意内容を書面(合意書、和解書等)にまとめ、後日争いが生じないように
しておきます。

家庭裁判所での調停
当事者間の協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所に「遺留分侵害額の請求調停」を申し
立てます。
調停では、調停委員が中立的な立場で双方の主張を聞き、解決案を提示するなどして合意形
成を図ります。申立先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者
が合意で定めた家庭裁判所です。

訴訟の提起
調停が不成立となった場合は、訴訟を提起することになります。訴訟では、遺留分算定の基
礎となる財産の範囲、不動産等の評価額、生前贈与の有無や金額などが審理の対象となり、
原告側が立証責任を負います。
なお、受遺者・受贈者が金銭を直ちに準備できない事情がある場合、裁判所は支払いについ
て相当の期限を許与することができます(民法第 1047 条第 5 項)。

4. 遺留分請求に必要な情報や書類

遺留分侵害額請求を進めるにあたっては、相続関係や遺産の内容を裏付ける資料を整える必
要があります。家庭裁判所に調停を申し立てる場合の主な書類は次のとおりです。

戸籍関係の書類
遺言書関係の書類
遺産に関する書類(銀行の取引履歴など)

5. 遺留分請求を弁護士に依頼するメリット

遺留分侵害額請求は、ご本人で進めることも法律上は可能ですが、以下のような場面で弁護
士が関与することで手続きが整いやすくなります。
複雑な計算と評価への対応
遺留分侵害額の計算には、生前贈与の有無や評価、特別受益の判断、相続債務の計算などが
関わります。特に不動産が含まれる場合、評価方法をめぐって意見が対立しやすく、適切な
評価額の検討が必要となります。弁護士は法律上の論点を踏まえて計算を進めることができ
ます。

適切な書面作成と意思表示
時効との関係で重要となるのが、内容証明郵便による意思表示です。記載内容に不備がある
と、時効が停止していないとして請求権が消滅してしまう可能性があるため、慎重に作成す
る必要があります。弁護士に依頼することで、必要事項を漏れなく記載した書面を作成する
ことができます。

交渉・調停・訴訟への対応
相手方との直接の交渉は、感情的な対立によって大きな負担が発生します。弁護士が代理人
として交渉や調停に対応することで、ご本人が直接やり取りをせずに済む利点があります。
また、訴訟になった場合の主張や立証についても、専門的な観点から準備を進めることがで
きます。

期間制限への対応
遺留分侵害額請求権には、知ったときから 1 年という短い時効期間が設けられています。
また、相続開始から 10 年の除斥期間も問題となります。弁護士に早期に相談することで、
期間制限に間に合うよう計画的に対応を進めることができます。

相手方の住所等の調査
相手方の現住所が不明な場合、職務上請求によって住民票等を取得することができます。こ
れは弁護士の業務上認められている調査方法であり、ご本人による調査が難しい場合に有用
です。

6. 遺留分に関するお悩みは当事務所にご相談ください

「遺言の内容に納得できない」「相続分が少なすぎる」「多額の生前贈与があったらしい」
といったお悩みは、遺留分侵害額請求で解決できる可能性があります。ただし、知ったとき
から 1 年で時効が成立するため、迅速な対応が必要です。当事務所では遺留分の計算、相
手方への通知、交渉・調停・訴訟まで一貫してサポートいたします。早期にご相談いただく
ほど、選べる対応の幅が広がります。お気軽にお問い合わせください。

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