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遺産の土地の境界が不明確で、遺産分割の進め方が分からない 場合について弁護士が解説

公開日:2026.07.06
最終更新日:2026.07.06

境界がはっきりしない土地は、正確な価値が計算できないだけでなく、将来的にご近所トラブ
ルの火種にもなります。この記事では、なぜ境界が分からなくなってしまうのかという根本的
な原因から、手続きを前に進めるための具体的な解決策まで、弁護士がわかりやすく解説しま
す。

相続でよくある土地(不動産)の境界に関するご相談

相続のご相談では、遺産に土地が含まれているケースが少なくありません。そして、土地が遺
産に含まれる場合、次のようなお悩みを聞くことがあります。
「土地を見に行ったら、隣地の方から塀がはみ出していると言われた」「隣地の塀がはみ出し
ているように見える」「登記簿の面積と実際の広さが違うように見える」「目印がなくてどこ
までが相続土地か分からない」といったご相談です。
特に、何十年も前に取得された土地や、山林・農地・古くからの宅地では、正確な測量が一度
も行われていないことが珍しくありません。所有者であった被相続人が亡くなると、境界に関
する事情を知る人がいなくなり、相続人が初めて問題に直面する、というのが典型的なパター
ンです。

土地の境界が不明確だと遺産分割で問題になる理由

遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を、相続人の間で具体的に分ける手続きで
す。遺産分割の前提として、それぞれの遺産が「どのような財産で、いくらの価値があるの
か」を把握する必要があります。
預貯金であれば残高証明書で金額が明確になりますが、土地はそうはいきません。土地の価値
は、面積・形状・接道状況などによって決まりますが、境界が不明確なままでは面積も形状も
確定できず、正確な評価ができません。
評価ができなければ、「誰がどの財産をどれだけ取得すれば公平なのか」という遺産分割の話
し合い自体が進みません。

そもそも境界とは?その種類について

境界には「筆界」と「所有権界」がある
一般に「境界」と一言でいわれますが、法律の世界では、性質の異なる 2 つの線があります。
それが「筆界」と「所有権界」です。この区別を理解しておくと、どの手続きを使えばよいの
かが整理しやすくなります。

筆界(ひっかい)

筆界とは、土地が登記された際に、その土地の範囲を区画するものとして定められた線のこと
です(不動産登記法 123 条 1 号)。分かりやすく言うと、登記簿に載せるために土地を切り分
けるときの切れ目です。登記制度上の「公法上の線」であり、隣同士の話し合いや合意によっ
て自由に動かすことはできません。「登記簿上、この土地とあの土地の区切りはどこか」とい
う問題が筆界の問題です。

所有権界(しょゆうけんかい)

所有権界とは、土地の所有権が及ぶ範囲を画する線のことです。本来、筆界と所有権界は一致
するのが原則ですが、土地の一部だけを譲り渡したり、時効取得することもあり、その場合に
は筆界と所有権界がずれることがあります。
「隣の家との境がはっきりしない」という悩みの中身が、筆界の問題なのか、所有権界の問題
なのか、あるいはその両方なのかによって、取るべき手続きが変わってきます。

境界が曖昧な土地をそのまま放置する 3 つのリスク

リスク① 公平な遺産分割ができない

前述のとおり、境界が不明確な土地は正確な評価ができません。都市部では、面積が 1 坪違う
だけでも土地の価値は大きく変わりますから、評価が曖昧なまま分割してしまうと、後から
「自分の取り分が少なかったのではないか」という不満が生じ、相続人間の関係悪化や、遺産
分割のやり直し主張などのトラブルにつながります。

リスク② 将来、売却したくても売れない

境界が確定できない土地は、買い手が付きにくく、売れたとしても相場より大幅に低い価格に
なりがちです。相続の時点では売る予定がなくても、将来、相続人やその子の代で売却が必要
になったとき、境界問題が最大の障害になることがあります。

リスク③ ご近所を巻き込んだトラブルに発展する

境界の事情をよく知っていた被相続人が亡くなると、隣地所有者との認識の食い違いが表面化
しやすくなります。塀の建て替えや建物の新築をきっかけに「そこはうちの土地だ」という主
張がされることがあります。時間が経つほど、当時の事情を知る人や資料は失われていきます
ので、問題を次の世代に先送りするほど解決は難しくなります。

境界が不明確な土地を遺産分割する場合の進め方

ステップ① まずは測量を入れて現状を把握する

最初に行うべきは、現状の正確な把握です。法務局で登記事項証明書・公図・地積測量図(作
成されている場合)を取得し、土地家屋調査士に依頼して測量を行います。
測量には、隣地所有者の立会いを求めずに現況の地形や塀の位置などを測る「現況測量」と、
隣地所有者や道路管理者の立会い・確認を経て境界を確定させる「確定測量」があります。隣
地の方と特に争いがなければ、確定測量と境界確認書の取り交わしによって、話し合いのレベ
ルで境界を明確にできることも多くあります。

ステップ② 境界を決めるための法的手続き(話し合いで決まらない場合)

隣地所有者との話し合いで境界が確認できない場合には、法的な手続きを利用することになり
ます。代表的なものは次の 2 つです。
1 つ目は「筆界特定制度」です。土地の所有者として登記されている人やその相続人などの申請
に基づき、法務局の筆界特定登記官が、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現
地における筆界の位置を特定する制度です(不動産登記法 131 条以下)。ただし、筆界特定は
筆界(公法上の線)を明らかにするものであり、所有権の範囲を確定するものではありませ
ん。
2 つ目は「境界(筆界)確定訴訟」です。裁判所が判決によって筆界を確定する手続きです。
どちらも、あくまでも筆界を定めるための手続きであり、筆界とは異なる所有権界が定まる場
合があります。
このため、現実的には、所有権の確認訴訟も同時に進めることになります。

ステップ③ 境界問題を抱えたまま遺産分割を進める方法もある

境界の確定には一定の時間がかかるため、「境界が決まるまで遺産分割が一切できない」とな
ると、相続人全員にとって負担です。境界問題を抱えたままでも、遺産分割を進めることはで
きます。
例えば、相続人全員が土地の評価額について「実際の広さにかかわらずこの金額を前提とす
る」と合意できれば、その評価を基に、特定の相続人が土地を取得して他の相続人に代償金を
支払う方法(代償分割)を取ることができます。また、境界問題のある土地だけを後回しに
し、預貯金など他の遺産について先に一部分割を行うことも考えられます。
相続人間の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を
利用できます。調停でも合意に至らないときは、審判手続に移行し、裁判官が分割方法を判断
します。もっとも、遺産の評価や範囲に大きな争いがあると調停・審判も長期化しやすいた
め、境界の整理と遺産分割の進行をどのような順序で行うかは、事案ごとの見極めが重要にな
ります。
なお、土地を相続人の共有としたまま遺産分割を終える方法もありますが、共有は将来の売却
や利用の場面で新たな紛争の原因になりやすく、境界問題も未解決のまま次世代に引き継がれ
てしまうため推奨はできません。

隣地所有者や他の相続人が協力してくれない場合の対応はある?

「隣地の方が協力してくれない」「他の相続人が協力してくれない」というケースもありま
す。
そのような場合には、境界確定訴訟や所有権確認訴訟を提起することになります。この場合に
は、隣地の方や訴訟提起に協力しない相続人を被告として手続きを行うことになります。

不動産トラブルにおける当事務所の強み

境界問題が絡む遺産分割は、相続や不動産に関する法律知識に加え、不動産鑑定士や土地家屋
調査士など不動産の専門家との協力が重要になります。当事務所では、これらの専門家との強
い協力関係を通じて、スムーズな解決に導きます。

境界問題が絡む遺産分割は、寺岡法律事務所へご相談ください

土地の境界が不明確なままでは、遺産分割の話し合いは進みにくく、放置すれば売却の支障や
ご近所トラブルなど、問題は大きくなっていきます。一方で、測量による現状把握、筆界特定
制度や訴訟の利用、評価額の合意による分割の先行など、状況に応じた解決の道筋は必ずあり
ます。
どの方法が適しているかは、土地の状況、隣地所有者との関係、相続人間の話し合いの状況に
よって異なります。遺産に境界の不明確な土地が含まれてお困りの方は、寺岡法律事務所まで
ご相談ください。

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