
A. 遺産分割そのものに法律上の期限はなく、協議はいつでも行うことができます。
「期限が迫っているから」と遺産分割協議書への押印を迫られるケースがありますが、
多くは他の手続きの期限との誤解です。
たとえば、相続登記は不動産取得を知った日から 3 年以内に申請する義務があり、
相続税の申告は 10 か月以内に行う必要があります。しかし、いずれも遺産分割が未
了でも法定相続分に基づいて手続きが可能なため、遺産分割自体の期限にはなりませ
ん。
ただし、注意すべきは「10 年ルール」です。相続開始から 10 年が経過すると、寄
与分や特別受益の主張ができなくなります(民法 904 条の 3)。これらを主張する可
能性がある場合は、10 年以内に遺産分割を行う必要があります。
また、期限がないからといって放置するとリスクがあります。分割まで遺産は相続
人全員の共有となるため、不動産の売却や預貯金の解約・名義変更には全員の同意が
必要です。さらに、時間の経過により数次相続で相続人が増えて合意形成が困難にな
ったり、財産が放置されて価値を失うおそれもあります。
遺産分割に期限はないものの、早期に進めることが円滑な解決につながります。お
悩みの際は弁護士へのご相談をおすすめします。




