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相続を放棄する手続き

公開日:2025.11.04
最終更新日:2025.12.04

故人に借金があった
亡くなった親の借金について督促が届いた
亡くなった親が借金の連帯保証人になっていた

このような場合には、早急な対応が必要です。
借金を相続しないためには、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行う必要があります。

相続の方法と相続放棄について

相続財産には、現金・不動産・預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金といったマイナスの財産も含まれます。
そのため、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続によって借金だけを負担することになってしまう可能性もあります。
このようなときには、相続放棄をすることで借金の負担を免れることができます。

相続の方法には、次の3種類があります。

 

単純承認

これは、被相続人の財産のすべてを引き継ぐ方法です。
つまり「通常どおり相続する」という形であり、この場合には特別な手続きを行う必要はありません。

相続放棄

これは、一切の財産を相続しない方法です。
プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、この方法が有効です。
相続放棄を行う場合は、相続を知ったとき(被相続人の死亡を知ったとき)から3か月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出して手続きを行います。
相続放棄の効果は、放棄をした人のみに及び、その相続権は次の順位の相続人へ移ります。
したがって、実際に相続放棄を行う際には、相続人全員が放棄を検討する必要がある場合もあります。

限定承認

限定承認とは、相続財産からマイナスの財産を返済し、それでも余った場合にのみ財産を相続する方法です。
つまり、プラスの財産の方が多ければ差額を相続できる手続きです。

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合に有効です。
相続を知ったとき(被相続人の死亡を知ったとき)から 3か月以内 に、家庭裁判所へ「限定承認申述書」を提出して手続きを行います。
このとき、相続人全員がそろって手続きをしなければなりません。

また、プラス・マイナス両方を含めた遺産の目録を作成して提出する必要があるため、相続放棄などに比べて手間が大きくなる点にも注意が必要です。

相続放棄が必要になる場合

相続放棄が必要となるのは、例えば次のような場合です。

故人に借金がある場合
故人が連帯保証人になっていた場合
故人が会社を経営していたが、自分は一切財産を引き継ぐつもりがない場合

このような状況では、早めに弁護士へご相談いただき、最適な対応方法を一緒に検討することをおすすめします。

よくある勘違い

遺産分割協議や調停で「自分は遺産を相続しない」と合意したとしても、法的には相続放棄をしたことにはなりません。

例えば次のようなケースです。
父親が事業を営んでおり借金があったところ、長男が事業を引き継ぐために借金を含めすべての財産を相続することにし、二男は「相続しない」という合意をした。
この場合でも、二男が借金の返済義務を負う可能性があります。

このような事態を防ぐためには、必ず家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります。

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