- 公開日:2025.11.19
- 最終更新日:2025.12.08
目次
遺留分侵害額請求について
「遺産をすべて兄に渡す」という遺言が見つかった
亡くなる直前に財産のすべてを愛人に渡していた
このようなことが原因で相続分を全く受け取れなかったり、不当に少ない相続しか認められなかった場合には、遺留分侵害額請求(旧・遺留分減殺請求)によって財産を取り戻せる可能性があります。
会社を引き継ぐために株式を相続したところ、他の相続人から遺留分を主張された
正当な代金を支払って財産を取得したのに、「安すぎるから遺留分を侵害している」と言われた
このような場合には、法的根拠に基づいて適切に反論することが必要です。
遺留分とは?
故人が特定の人にすべての財産を与えたいと考えても、配偶者や子どもには、法律で保障された一定の割合の相続権があります。
この一定の割合を遺留分といいます。
遺留分を下回る内容の遺言が見つかった場合には、遺留分を主張して一定割合の財産を受け取ることが可能です。
これを「遺留分侵害額請求(旧・遺留分減殺請求)」といいます。
遺留分侵害額請求を行いたいとき、または請求を受けたときは、まず正しい遺留分の額を把握することが大切です。
そのうえで、請求を行うのか、または請求に対してどのように対応するのかを検討していきましょう。
下記に、遺留分の割合を示した図を掲載しています。
ご自身での計算が難しい場合には、当事務所にお越しいただければ、弁護士と一緒に確認・計算することも可能です。
遺留分割合の例
① 法定相続人が配偶者と子の場合
遺留分は法定相続分の1/2になります。
仮に、相続人が配偶者と子1人の場合には次のようになります。
配偶者:相続財産の1/4((1/2)×(1/2))
子:相続財産の1/4((1/2)×(1/2))

② 法定相続人が父母のみの場合
遺留分は法定相続分の1/3になります。
仮に、相続人が父母2人の場合には次のようになります。
父母:それぞれ相続財産の1/6((1/2)×(1/3))

③ 法定相続人が兄弟姉妹のみの場合
兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分侵害額請求をするには
遺留分侵害額請求を行うには、相手方に対して「請求の意思」を伝えるだけで足ります。
必ずしも調停や訴訟を申し立てる必要はありません。
逆に、調停を申し立てただけでは、遺留分侵害額請求が有効に行われたとは認められない場合があります。
また、この請求には1年間の期間制限があります。
そのため、請求を行ったことを明確に残すために、通常は内容証明郵便で請求するのが一般的です。
もっとも、裁判所外での話し合いによって侵害額の支払いに合意することは困難です。
そのため、実際には内容証明郵便で請求を行ったうえで、調停や訴訟を申し立てて解決を目指す流れとなるのが一般的です。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すべき理由
遺留分侵害額請求を行うには、相続財産の調査や、実際に遺留分侵害に当たるかどうかの検討が必要となります。
また、適切な方法で請求を行わなければ、請求が有効と認められず、気づかないうちに期間制限を過ぎてしまうおそれもあります。
そのため、遺留分侵害額請求を行う際には、相続問題に詳しい弁護士へ相談することを強くおすすめします。
遺留分侵害額請求をされてしまった方へ
会社を引き継ぐために株式を相続したのに、他の相続人から遺留分を主張された
正当な代金を支払って財産を取得したのに、「安すぎるから遺留分を侵害している」と言われた
会社や不動産を引き継ぐために、特定の相続人に財産を集中させたい場合があります。
このような場合、実際には代金を支払ったり、特定の負担を引き受けたりしているケースが多いのですが、それでも他の相続人から遺留分侵害を主張されることがあります。
その際に適切な反論や主張を行わなければ、侵害額の支払いに対応するために株式や不動産を手放さざるを得なくなり、結果として故人の意向が実現できなくなるおそれがあります。
遺留分侵害額請求をされてしまったらまずは弁護士にご相談を
適切に反論するためには、取引や相続の経緯を法律的に整理したうえで、根拠を明確にして主張することが重要です。
遺留分侵害額請求を受けた場合には、相続問題に精通した弁護士へ早めにご相談ください。




