- 公開日:2025.11.20
- 最終更新日:2025.12.08
遺産分割は、通常は訴訟ではなく、調停や審判の手続きで行われます。
このため、遺産分割で訴訟が発生することは多くはありません。
遺産分割で訴訟が発生するのは、遺産分割の前提となる事実について争われるものに限られます。
それは主に次の3つになります。
- ある人が相続人であるかを争うもの
- ある財産が遺産に含まれるかを争うもの
- 遺言の有効性を争うもの
です。
それぞれ見ていきましょう。
目次
遺産分割審判
相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
さらに、調停でも合意に至らなかった場合には、「審判手続き」に移行し、裁判官が遺産の分け方を決定します。
詳しくは、当サイト内の「遺産分割調停」や「審判」に関するページをご覧ください。
ある人が相続人であるかを争う訴訟
「相続人の地位不存在確認訴訟」と呼ばれるものです。
つまり、ある人が相続人として故人の財産を受け取る権利を有しているのかどうか、その権利の有無を争う訴訟です。
この訴訟が発生するのは、大きく分けて次の2つの場合があります。
① 親族関係が存在しないことの主張
故人の子どもとされているが実際にはそうではない、養子縁組が無効である、といった事情を理由に「親族関係が存在しないので相続人ではない」と主張するケースです。
② 相続欠格の主張
故人をだましたり脅したりして遺言を書かせたなど、相続欠格事由にあたる行為があったとして、その者を相続人から排除することを主張するケースです。
※相続欠格事由とは
相続人であるはずの人が、一定の事由(欠格事由)に該当した場合に相続人の地位を失う制度です。
具体的には、被相続人や他の相続人を殺害した、詐欺や脅迫によって遺言を作成させた、などの事情が挙げられます(民法891条)。
この規定は非常に厳格に定められているため、単に故人に不義理をした、勘当された、家を出ていったなどの事情では、相続人から排除されることはありません。
ある財産が遺産に含まれるかを争うもの
「遺産確認訴訟」と呼ばれるもので、ある財産が相続財産に含まれるかどうかが争われるものです。
例えば、次のような争いケースがあります。
- 子ども(相続人)名義の預貯金であっても、実際には親(被相続人)の資金によるものであり、相続財産に含まれるべきだと主張されるケース
- 父親名義のままの株式について、実際には生前に子どもへ売却されていたため、相続財産には含まれないと主張されるケース
遺言の有効性を争うもの
これは「遺言無効確認訴訟」と呼ばれるもので、故人が生前に作成した遺言について、その内容や形式に問題があり無効であると主張して提起される訴訟です。
例えば、次のようなケースで遺言の有効性が争われることがあります。
- 同居していた親族が、故人に無理やり遺言を書かせたと主張する場合
- 故人が認知症を発症し、判断能力を失った後に作成された遺言であると主張する場合
このように、遺言の作成過程や故人の判断能力に問題があったとされると、「遺言無効確認訴訟」が提起されることになります。
話し合いや調停の場面で、これらの点について争いがあると、手続きが全く進まなくなってしまうことがあります。
しかし、一方で裁判によって判決が出れば、その結論を前提として全体の手続きをスムーズに進められる可能性があります。
そのため、前提となる事実の争いによって手続きが滞っている場合には、訴訟提起も選択肢として検討してみてください。
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